春になりお花見や卒業式、入学式、新生活などイベントごとが増える季節になってきました。学校や会社の歓迎会などで、食物アレルギーがある方は料理に気をつけないといけなかったり、花粉によるくしゃみや鼻水などのアレルギー症状に悩まされる季節でもあります。
新生活や新社会人、部署異動など新しいことにチャレンジする機会が増え、気合が入る時期でもありますが、アレルギーがある人にとっては悩ましい季節ですね。
そもそもアレルギーとは具体的に何かと言われると、正確に答えられる方は少ないのではないでしょうか。
アレルギーは、種類や症状により症状の度合いが異なります。鼻水、くしゃみ、目や皮膚のかゆみ、湿疹などの症状から、重度の場合は呼吸困難や血圧低下といった重篤な症状(アナフィラキシーショック)を引き起こし命を脅かす危険性もあります。
また、アレルギーは反応が出るタイミングもさまざまですし、原因物質もさまざまです。
株式会社GIVERの代表取締役である土井あゆみは、30代に入り乳製品・卵アレルギーが発覚したことをきっかけに、ヴィーガンという食事スタイルを知り、生活に取り入れるようになりました。
食物アレルギーの原因物質として多いのは卵や乳製品、小麦があげられますが、昨今、グルテンフリー、プラントベース、ヴィーガンなどを意識し、食材を置き換えて提供している飲食店も増えてきています。
今回は、アレルギーをもつ方にとってヴィーガン生活が効果的であるのか、アレルギーとヴィーガンの関係性について知っていきましょう。
アレルギーとは
アレルギーとは「身体を守る免疫機能によって全身または身体の一部に異常が起こる現象」と言われています。人間の身体には細菌やウイルスといった異物から身を守るための免疫機能があり、それらが過剰に反応して体に症状が引き起こされることを「アレルギー反応」と言います。
アレルギー反応は獲得免疫によるもの
免疫には、「自然免疫」と「獲得免疫」が存在します。
①自然免疫
生まれつき体に備わっているもので、自分ではない菌などの異物を認識して除去するものです。
②獲得免疫
生活している中で新たに身につきます。先に異物が入った時に自然免疫が先に除去するために働きますが、自然免疫だけでは除去できない場合に異物情報を元に体を守る抗体(IgE抗体)をつくります。
IgE抗体が働いた時に、体を守るための反応として身体の痒み、くしゃみ、鼻水、アナフィラキシーショックなどの症状が出ます。
例で言うと、2回目にハチに刺されると危ないと聞いたことがあるかもしれません。初めてハチに刺される人はそもそもIgE抗体が存在していないのでアレルギー反応は生じません。しかしその際にハチの毒の情報を元にIgE抗体が作られるので、2回目にハチに刺されると体を守るための反応として重篤なアナフィラキシーショックが引き起こされることがあるというわけです。
アレルギーの種類
アレルギーにはさまざまな種類がありそれぞれ原因や症状に違いがあります。
主な種類としては、食物アレルギー、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、気管支喘息などが挙げられます。
①食物アレルギー
口から食べた物が原因物質となり、症状が起こるアレルギーのことです。
特定の食物に対して、免疫が過剰に反応すると、蕁麻疹、湿疹、下痢などの症状があります。乳幼児ではアトピー性皮膚炎として発症するケースもあるそうです。人によってはアナフィラキシーショックを引き起こすこともあるため、命に関わる危険性が高いアレルギーとされています。
②アトピー性皮膚炎
食物や黄色ブドウ球菌、真菌、ダニ、などが原因で発症するアレルギーです。痒みを伴う湿疹が全身に出始め、多くの場合子どもの頃に発症し、成長とともに改善されますが、人によっては大人から発症することもあります。
③アレルギー性鼻炎
鼻の粘膜から侵入したアレルギーの原因物質によって引き起こされるアレルギーです。鼻水、鼻詰まり、くしゃみ、目のかゆみなどの症状があります。
同じアレルギー性鼻炎でも花粉やホコリ、ダニ、カビ、ペットの毛などにより引き起こされます。
④気管支喘息
気管支に炎症が起こるアレルギーです。炎症により気管が狭くなり呼吸がしづらい状態になります。気管支喘息が悪化する要因として風邪などの感染症の他にダニ、カビ、ベットの毛、黄砂などがあげられます。
感染症よりも増えてきているアレルギー疾患
近年、食物アレルギーをはじめとするアレルギー疾患が増えており、アレルギー疾患発症の背景の一つとして経済活動により引き起こされる環境汚染や住宅事情の変化があげられます。具体的にはコンクリートやアルミサッシなどを使用した機密性の高い住宅が普及していることや、エアコンの普及により快適な室温が保たれることから、アレルギーの原因となるダニやカビにとっても増殖しやすい環境となってしまっています。
このように、快適さや清潔さを追求した暮らしにより新たな問題が生み出されています。
衛生状態が改善されたことに伴い、寄生虫疾患や感染症などは減ってきていますが、それとは逆にアレルギーが増加してきている傾向にあります。
それだけ異物から体を守る抗体IgE抗体が作られやすい環境になってきているのではないでしょうか。
上記のように、アレルギーの種類はたくさんあり、現代において社会問題となるほど一般的になっていることがわかりますね。次に、代表の土井あゆみがヴィーガンの生活を取り入れるきっかけとなった、食物アレルギーについて知っていきましょう。
9割を占める鶏卵、乳製品アレルギー
食物アレルギーを引き起こす原因食物としては、鶏卵、牛乳の割合が多く、年齢によって割合が異なります。0歳児では鶏卵が最も多く、牛乳、小麦の3つで95%を占めているそうです。幼少期に発症するイメージが強い食物アレルギーですが、場合によっては死に至るアナフィラキシーショックを引き起こす危険性もあります。大人になってから発症する場合もあり、20代、30代へと年齢が上がるに連れ発症率は減少していく傾向となっています。
アレルギーの原因となる食物は子どもの頃は圧倒的に鶏卵、牛乳、が上位を占めますが、18歳以降になると、小麦、甲殻類、果物類、魚類になっていきます。
アレルギー症状はすぐ出るものばかりではない
①即時型アレルギー(1型アレルギー)
原因となる食べ物を食べて主に2時間以内に、皮膚や粘膜、消化器、呼吸器などに症状が現れます。
このようにすぐに症状が出るアレルギーはIgE抗体の免疫反応が関係しています。症状が出るまでの時間が短いため原因がわかりやすいアレルギーです。
②遅延型アレルギー(3型アレルギー)
即時型アレルギーに対して、遅延型アレルギーは食物摂取後に数時間から数週間後に症状が出現します。
頭痛、めまい、うつ、などの精神神経症状、肩こり、慢性疲労など一見関係のないような多彩な症状を起こします。 このようなアレルギー反応があることを知らないと診断をすることが困難です。
近年、さまざまな健康障害にこの遅延型アレルギーの関与が指摘されています。 好んで食べている食物にこのタイプのアレルギーが多いとも言われており、好物だと思っていたものが、実は、健康を害する原因になっている可能性があります。気付かずアレルギー反応が出る食品を食べ続けている可能性も多くあります。
現在、遅延型アレルギー検査は、保険が適用されていません。遅延型アレルギーはIgG抗体が関与していると言われています。アレルギー的な症状がある方は、病院で保険適用のアレルギー検査を受ける方が多いと思いますが、これはIgE抗体を調べる検査であるため、IgGで反応する食品がIgEでも反応するとは限りません。
土井あゆみは会社を経営している中、30代に入り自身が乳製品・卵の遅延型アレルギーと発覚したことがきっかけでヴィーガンの生活を取り入れるようになりました。
ヴィーガンを取り入れている飲食店では、乳製品や卵が食べられなくても植物由来の食品へ代用してあることから食べられるものがたくさんあります。実際に食べてみるととても美味しいメニューもたくさんあり、アレルギーのある方にもおすすめです。
動物性アレルギーでも小麦アレルギーでも安心!ヴィーガン&グルテンフリーのお店
近年、日本でもベジタリアンやヴィーガンに対応するレストランや、食物由来の食物を使用した代替肉が少しずつ増えてきています。しかしヴィーガンは小麦もたべるため、小麦アレルギーを持っている人のなかには、ヴィーガン食の選択肢が少ないと悩む人もいるのではないでしょうか。
松竹圓(Shouchiku-en)
小麦アレルギーでも気にせずに食べられるヴィーガンとグルテンフリーを意識している企業として松竹圓(Shouchiku-en)があります。ケーキとデザートはすべてヴィーガンでグルテンフリーであり、乳製品、卵、ゼラチン、その他の動物性原料は一切使用していません。 小麦粉の代わりに国産米粉を使用しています。
CHAYA Macrobi Shiodome(チャヤマクロビ シオドメ)
ヴィーガン・グルテンフリーのメニューが豊富なお店としては、汐留にあるCHAYA Macrobi Shiodomeもおすすめです。
「食べてきれいになる、 オーガニックな生き方。」をテーマに、玄米菜食のマクロビオティックのメニューを揃えています。ソイミートを使ったメニューや、グルテンフリーのカレー、スイーツなども豊富です。
ヴィーガンの方もヴィーガンでない方にも、食物アレルギーの方でもヴィーガンやグルテンフリーを意識した飲食店を活用することで、美味しく食事を楽しむことができますね。
食物アレルギーに対してのヴィーガンの活用性
食物アレルギーの原因としてもっとも割合が多い食べ物は鶏卵や乳製品が多く、卒業式、入学式、新生活など食べるイベントごとが多い季節ですが、食物アレルギーの方は注意して食事をしなければいけません。特に乳製品、鶏卵、小麦アレルギーをもった小さいお子様にとってケーキやプリンなど洋菓子を我慢することはなかなか大変です。そんな時は植物性のものを使うことが多い和食やプラントベース、ヴィーガンを意識した飲食店の活用もいいかもしれません。
アレルギーを気にして食べないと言う選択から食べられる選択ができますし、 ヴィーガンを取り入れることで、身体に良く、環境に貢献することにもつながります。乳製品や鶏卵アレルギーの方は一度ヴィーガンを取り入れてみることもいいかもしれません。